藤田紘一郎著 「体をつくる水、壊す水」
また、蒸留水も生のままでは飲んではいけない水です。2011年の福島原子力発電所の爆発事故のあと、放射線の被害を恐れてペットボトル詰めの水が全国的に品薄になったことがありました。このとき、非常用の保存水を購入した人もいたと思います。水不足に陥ったあの当時、「5年保存できる」というキャッチコピーは魅力的に映ったことでしょう。長期保存の可能な非常用水は、高温殺菌しているか、蒸留水、もしくは純水です。
蒸留水のつくり方は、以下のとおりです。水を沸騰させ発生した水蒸気を冷却すると、凝縮されて、水に戻ります。こうしてつくる純度の高い蒸留水は、医薬品の実験や化学上の操作などで使われます。
この水が飲めないわけではありません。しかし、健康を考えれば、生のまま飲んではいけない水です。蒸留水を水槽に入れ、そこに淡水魚を放すとどうなると思いますか。それまでいきいきと泳いでいた魚が、苦しそうに暴れたのち死んでしまうのです。
(つづく)