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Water Diary

水を通して見える世界の話を、日記に綴ります

日本の水道の病理

NHKブックス487 「おいしい水の探求」小島貞男著 日本放送出版協会

序文より

東京オリンピックを数年後に控えたころ、東京都の玉川浄水場には毎日のように「水道水がまずい」「薬臭くて飲めない」という苦情の電話がかかってきた。玉川浄水場は日本の水道水源の中でいちばん早く、最もひどく汚れた多摩川を水源としているところで、当時私はそこの責任者であった。
しかし、こんなに汚れた原水を浄化した経験はどこにもなかったので、とにかく安全第一と考えて、数多くの薬品を思いっきり注入して浄化処理をした。その結果、薬品は他の浄水場の二〇倍も使ったのに、薬臭い、まずい水ができてしまったのである。
これではいけない、水道水はやっぱりおいしくなければならないと気がついたが、さて「おいしい水」とはどんな水なのか、ということさえわからなかった。それがわかってからは、今度はどうしたら汚れた原水からでもおいしい水を作ることができるかを探し求める研究を続けたのである。
(中略)
このようにして多摩川下流系の水道で始まった「おいしい水」への要求が、やがてほうぼうの水源が汚れるにつれて、各地の水道でも起こるようになったことはご案内のとおりである。そこで、すでに高い普及率と安全性の確保とがほぼ達成された、わが国の水道界にとっては「おいしい水の供給」が今後に残された重要な課題であり、生水を好む日本人の永遠の願望であろう。

多くの人が選んだこのおいしい水は、現実にはどこにあるかというと、それは湧水や地下水、それから上流の谷川の水の中に見いだされるのである。たしかに激しい運動のあとで飲む井戸水や、山登りで汗をかいたときに飲む谷川の水がこのうえなくおいしいのも、これらの水がミネラル量、温度、炭酸ガスといったおいしい水の三要素、三条件を備えているからである。
一方、考えてみると、おいしい水は、天然の水の中で最も衛生的に安全な水であるということは非常に興味深いことである。というのは、地下水、湧水、谷川の水は、いずれも土壌でろ過され、浄化されて、バイ菌やら、濁りなどの不純物が皆取り除かれ、有機物も大部分が分解・除去されている水で、最も安全な水なのである。

(つづく)



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