無縁社会
100歳以上のお年寄りの消息を辿ってみたら、行方不明者が後を絶たない事態に陥りました。私は、その最大の要因として、「核家族化」の進行を挙げます。
3世代が共に暮らす生活では、人は3世代が持つ時間の拡がりを日常的に共有していました。子供は、親の経験だけでなく、お爺ちゃんやお婆ちゃんの経験や価値観を見ながら育ちました。子供は、お爺ちゃんお婆ちゃんとの触れ合いを通して、50年も前に起こった事象を知り得たのです。それがなくなり、今の子供は時の流れを大きな観点から捉える術を完全に失ってしまいました。
一方、お爺ちゃんお婆ちゃんが置かれた環境も、悪化を辿りました。長寿とは言え、不老ではないため、登場人物は歯が抜けるように減っていきます。いつの間にか語り合える同世代はあの世に行き、話す相手は居なくなっていました。すると、お年寄りには、もう新たな話し相手を見つける術はありません。「社会的動物」がお互いの意志疎通を図り、影響をし合う者を失うと、自らが拠って立つ場と根拠を失ってしまいます。それは、長い長い日本の歴史の中でも初めて迎える局面であり、今のお年寄りは未知の世界に初めて追いやられる世代となりました。
そんな無縁社会が、「ネバーエンディングストーリー」の「虚無」の様にものすごい勢いで広がっています。
(つづく)
3世代が共に暮らす生活では、人は3世代が持つ時間の拡がりを日常的に共有していました。子供は、親の経験だけでなく、お爺ちゃんやお婆ちゃんの経験や価値観を見ながら育ちました。子供は、お爺ちゃんお婆ちゃんとの触れ合いを通して、50年も前に起こった事象を知り得たのです。それがなくなり、今の子供は時の流れを大きな観点から捉える術を完全に失ってしまいました。
一方、お爺ちゃんお婆ちゃんが置かれた環境も、悪化を辿りました。長寿とは言え、不老ではないため、登場人物は歯が抜けるように減っていきます。いつの間にか語り合える同世代はあの世に行き、話す相手は居なくなっていました。すると、お年寄りには、もう新たな話し相手を見つける術はありません。「社会的動物」がお互いの意志疎通を図り、影響をし合う者を失うと、自らが拠って立つ場と根拠を失ってしまいます。それは、長い長い日本の歴史の中でも初めて迎える局面であり、今のお年寄りは未知の世界に初めて追いやられる世代となりました。
そんな無縁社会が、「ネバーエンディングストーリー」の「虚無」の様にものすごい勢いで広がっています。
(つづく)