人生100歳時代の心がまえ
ついでに言うが、少子化というのは、「自然の摂理による抑制作用」だという側面を見落としてはいけない。自然界では、種の数が無闇やたらに増えていくことはない。「餌」の量によって、制限が加わるからだ。人類だけが、資本主義の台頭と期を同じくして、200年以上前から突如人口を膨張させてきた。それは、資本主義が人口膨張策を取ってきたからに他ならない。が、その意図的且つ不自然な人口増にも、自然の摂理による抑制は働く。自然界の摂理から遠く離れた人間たちでも、予知能力は「ゼロ」となってしまったわけではない。人々は、このまま膨張が続くと、「どういう未来が訪れるか?」を察知して、子供を産まなくなってきた。その流れは、誰かの意図や指図ではなく、自然発生的なものだ。そこに「対策」を講じることしか考えない政府や政治家の「無策・無能」に、これ以上付き合ってはいけない!
私たちに今必要なことは、社会的動物という特性に立ち返り、日本人が積み上げてきた昔日の「豊かさ」を取り戻すことだ。そのためには、まず日本の歴史に学ぶ。私たちの「豊かさ」は、再生可能な天然資源である「豊富な」天然水を元に組み上げられて来た。「水と大地と人力」を元に、私たちは「知恵」を育んできた。その「知恵」は、日本固有のものだ。それを「途切れさせず、継承して行く」。
気が付いてほしいことは、「生涯現役で働く」ことは、「決して新しい発想ではない」と言うことだ。もう私たちの多くは忘れてしまっているが、少し前の日本では、すべての人が「生涯現役で働いていた」。だから、「知恵」の継承は少しのロスもなく、行なわれてきた。そして、「技術」の継承は言葉ではなく、先人の背中を見て学び取ってきた。だからこそ、その技術は「自分自身のものとなった」だけではなく、新たに「自分自身の創意工夫」を加わえることで、次へ次へと継承されてきたのだ。私たちが為すべきことは、そうした地道且つ確実な継承を実践できる「制度設計」を、政府や政治家に促すことだ。気が付いた人間だけが、「生涯現役で働く」ことを決意するのではなく、そうした生き方を制度として作り上げ、皆のものとしていく。
その必要性を、最後に、高山先生の言葉に付け加えておきたい。
(完)