アベノミクス第三幕
「アベノミクス第三幕は 財政・金融に手詰まり感」と今日の日経が報じている。
<日銀金融政策決定会合の結果が29日、判明する。市場では追加金融緩和や政府の大型経済対策に対する期待感が強いが、28日の日経平均株価は一時214円安。海外投資家は、むしろ安易な政策発動が国の競争力をそぐリスクを懸念し始めた。>
安倍政権は、早い話、株価を押し上げることで財政を立て直そうとしている。それ以外に「策はない」。それが、アベノミクスの真髄だ。税金を湯水の様に使い、「親方日の丸」と名付けられた輸出でグローバル経済に打って出た自民党の政策は、安倍氏の近親者である岸や佐藤政権から脈々と引き継がれたものだ。
第二次安倍政権で、一時的に、アベノミクスが機能したように見えた時期があった。だが、その裏には、皮肉にも安倍氏が「目の敵」とする中国の存在があった。輸出不振に喘ぐ日本を支えていたのは、中国の好景気だった。その好景気を演出したのは、アメリカだったが、中国の軍事的な進出を見かねたアメリカは政策を転換する。アメリカは、円安によって、輸出で稼ぎまくる中国の勢いを牽制する挙に出たのだ。それが、「中国経済の変調」と、「爆買い」という両面を生み出したのだから、世の中は皮肉にできている。
だが、アメリカだけの都合で動かすグローバル経済は、「国内の貧富の差」もこれ以上ないほどに広げる結果を招いた。だから、中国の勢いを削いだ以上、アメリカが日本の円安を放置する「理由も、余裕も」最早ない。国内の安定化を最優先しなければ、自国の統治すら危ういほど、グローバル経済は末期的な症状を呈し始めているのだ。アメリカの「円安誘導は認めない」発言は、追い詰められたアメリカの「決意表明」であると同時に、「安倍政権への忠告」と捉えるべきだろう。
だが、安倍氏には、その「忠告」を聞き入れるほどの「器量はない」。
アベノミクスを機能させられる状況など、「もう、どこにもない。」これが現実だ。ならば、安倍氏の得意満面な笑みと共に繰り出す「安易な政策発動」は、国内投資家や財政投融資の懐に巨大な穴を開けることとなる。
日経の報道は、そうした海外投資家の読みを紹介している。