売れる水、買いたい水
因に、太平洋戦争で日本が秘密戦を行うために創設した陸軍中野学校では、「諜報」、「諜略」、「防諜」、「宣伝」、「遊撃」を教育した。その中で、「宣伝」とは、「相手が好むと好まざるとにかかわらず、一方的に情報を提供すること」と定義されている。戦国時代を通じて確立された「諜略」や「宣伝」は、陸軍中野学校を通じ、今でもこの国に脈々と流れている。この「諜略」は、今誰を対象に行われているか?と言えば、私たち国民を対象としている。何しろ、「諜略」とは言葉や文化を同じくする者にしか通じない。メディアの「宣伝力」をフルに動員して、権力に「都合の良い」情報を一方的に流し続ける。それは、この国の権力の最も得意とするところだ。
明治以降、この国の権力は同じ系譜によって占められている。だからこそ、NHKの歴史ドラマでは幕末の志士たちは、いつも「英雄」として描かれる。そして、「軍師官兵衛」では「諜略」を「きれいごと」として描いている。同じようにして、自分たちの系譜が、あたかも「万世一系」と同系列であるかの様な印象を人々に与えようとしている。
(つづく)