転換期
少し話を戻すが、なぜ?先進国は北に多く分布しているのか?と言えば、それは「天然水」と無縁ではない。豊富な「天然水」の存在があって初めて、人類を飛躍的に進化させた農耕の技術革新は成し遂げられた。水を活かすことが「富」の蓄積に直結したと言える。やがて、先進国で進むこととなった工業化にも、大量の「水」が必要とされた。だが、そのことによって「水」の汚染が進み、人口の爆発的な増加、食糧増産の必要性、後進国で進む工業化の波等々が相俟って、必要とされる「真水」の奪い合いが懸念される事態に突入した。これが、「水の世紀」の生い立ちだ。
だが、人類は「地球温暖化の回避」よりも経済成長を優先させる「道を選んだ」。同様に金になるエネルギーを優先させるために、水を犠牲にすることすら厭わない。シェールガスを地中から掘り出すためには、地下水を汚染させてしまうことは多くの人が知ることとなっている。だが、人類は、今や物事の「後先」をまともに考えることができない。そのために、生命にとってなくてはならない「水」を、「飲めない代物」に変えてしまうことを「平気」でやってのける。氷河を溶かし、地下水を穢す。決して「カネ」では買えない「真水」とその貯蔵庫を、次々と「無」に帰して行く。何が一番大切なものなのか?そして、何が一番大切なことなのか?私たちは、その判断基準(=正気)を失っている。それが迫り来る「水の世紀」の、本当の怖さだ!
(つづく)